法制度
|
- 1991年に移転価格税制を導入。
- 1998年に移転価格税制ガイドライン(「関連企業間取引税務管理規定(試行)」)の公布(国税発[1998]59号)。2004年にはその改定に関する国税発[2004]143号が発表された。
- 2004年にAPAガイドラインの公布(国税発[2004]118号)。
- 2005年に相互協議手続きに係る通達の発行(国税発[2005]115号)。
- 2007年に新企業所得税法可決成立(2008年1月1日施行)。
- 2009年に、移転価格新ガイドライン(「特別納税調整実施弁法(試行)」)(国税発 [2009]2号)が公布された。
- 2015年には移転価格新ガイドラインの改訂がなされる予定。そこではモニタリングやマネージメント、無形資産やグループ内役務提携について規定される。
- 2016年7月13日に、国家税務局(SAT)はOECDのBEPSに基づいた新規則、Announcement on the Enhancement of the Contemporaneous Documentation (Announcement42)を公表し、国別報告書、マスターファイルやローカルファイルを含む同時移転価格文書に関する新しい規則を提示した。2016年1月1日の会計年度から適用。
|
移転価格算定方法
|
- 独立企業間原則に従い、優先順位はなく、ベスト・メソッド・ルールを採用。CUP法、再販売価格基準法、原価基準法、TNMM、利益分割法、その他の方法が採用される。
|
申告時の情報開示
|
- 申告時に情報開示義務あり。
1.関連者との関係表 / 2.関連者間取引合算表 / 3.売上および仕入表 / 4.役務提供取引表 / 5.無形資産取引表 / 6.固定資産取引表 / 7.融資取引表 / 8.国外投資状況表 / 9.国外関連者への支払金額状況表
|
移転価格文書
|
- 2016年の新規則により国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルの提出者が定義づけられた。 国別報告書の提出義務者は連結収入が55億RBM(BEPS Action13の基準である750百万ユーロに相当)を超える最終親事業体等、マスターファイルは海外関連取引のある企業や多国籍企業で、その取引額は10億を超える企業、ローカルファイルは海外関連取引のある企業や多国籍企業で、その取引額は10億を超える企業。また、年間2億RMBを超える有形資産の譲渡、年間1億RMBを超える金融資産の譲渡、年間1億RMBを超える無形資産のオーナーシップの譲渡のある場合、さらにサービス、金融取引すべての取引において4,000万RMBを超える取引ある場合。
- 使用言語は中国語
- 申告期限(5月31日) までに作成が必要
- 文書化関連資料の10年間の保存義務
- 調査時に当局からの要求後、20日以内に提示しなくてはならない。
- 調査後、納税者が追跡監査下に置かれている場合、次の年の6月20日までに文書提出
- 文書化義務を怠ると所得移転認定額に対して5%の課徴金
|
罰則
|
- 文書化義務を行わなかった場合、2,000RMBから10,000RMBのペナルティが課される。また追徴課税を受けた場合に、5%の免除を受けることができない。
- 延滞税として中国人民銀行のRMB貸付基準金利+5%が課される。
- ただし、同期文書の準備がある場合は、+5%の延滞税が免除される場合がある。
|
挙証責任
|
|
APA
|
- 国税発[2004]118号、国税発[2009]2号にAPAに関して規定されている。
- 申請期限は税務機関による正式協議に関する通知を受領した日から3カ月以内、且つ、最初の事業年度開始の日の前日まで。
- 正式申請前に当局との事前相談での協議及び合意が不可欠。
- 国内、二国間及び多国間でのAPAが可能。
- 確認対象期間は、正式申請の次年度から3年から5年事業年度。ロールバックも可能。
|
ターゲット
|
- 関連者との取引金額あるいは取引類型が多い企業
- 長期欠損企業、利幅の薄い企業、利益変動が大きい企業
- 利益水準が同業者やグループの他社より低い企業
- 利益水準が負担するリスクや機能と対応しない企業
- タックスヘイブンに所在する関連者と取引のある企業
- 規則に応じた関連申告を行わない、または関連資料を準備していない企業
- 明らかに独立企業間原則に反している企業
- その他、機能・リスクの限定的な企業は損失を負うべきではないと考えられているために、機能・リスクが限定的な企業で赤字の企業については、損失発生年度分の同期文書及び関連資料を準備し、翌年6月20日までに税務当局に提出することが求められる。
|
対象となる「関連企業取引」
|
- 25%以上の株式につき、直接、間接の保有関係のある関連者との取引。また、実質的に支配関係にある場合にも対象となる可能性。具体的に以下の取引があげられる。
- 棚卸資産の販売や購入
- 役務提供
- 貸付や借入
- 固定資産の譲渡
- ロイヤルティ
|
文書化すべき内容
|
- グローバルストラクチャー:関連企業の実効税率も含む
- 業務内容の詳細分析
1. 会社概要と経営戦略 / 2. 業界分析 / 3. 機能分析 / 4. 財務分析
- 関連企業間取引の詳細(国内外いずれも対象とされる)
- 比較分析
- 移転価格算定方法の選択と適用/採用した移転価格算定方法以外を採用しない理由(ベスト・メソッド・ルールの適用)
- 費用分担契約の詳細(該当する場合)
- 過小資本税制関連事項の詳細(該当する場合)
※すべて中国語で作成(外国語添付資料も全て中国語へ翻訳)
|
作成時期等
|
- 確定申告期限まで(例;2009年事業年度分は2010年5月31日まで)
* 2008年度分の文書化については2009年12月31日まででよい。
- 文書化関連資料の10年間の保存義務
- 企業所得税の確定申告書に「移転価格文書準備、保管済み」のチェック欄あり。チェックすると、5月末の確定申告書の提出と「同時に」、移転価格文書も準備済みとの宣言になる。
- 当局の要求があってから、20日以内に提示しなくてはならない。
|
適用除外
|
- 関連者間取引が少額である場合;
APAやCSAでカバーされていない関係者の棚卸資産取引が 200百万REB以下、かつ、棚卸資産以外の役務提供やロイヤリティ、無形資産取引の取引が 40百万REB以下
- 国外関連者間取引について当局とAPAを締結している場合
- 外国人投資家で直接・間接の株式持分が50%以下で、すべての関係者取引が中国国内の企業
|
その他
|
- クロスボーダー取引のみならず、国内関連者間取引についても移転価格税制が適用される。
- 同時調査-中国に存在するグループ会社すべてを対象とした調査が行われることがある。
- 追跡調査-5年間追跡調査が行われ、移転価格税制による更正の後、3年間は更正内容がそのまま適用される。
- 調査対象(更正)期間は原則3年以内(「特殊な状況」下においては最長10年間。)
- 受託製造子会社は一定水準以上の利益率を維持することが求められる。
- 比較可能企業の中位値以上の利益率が要求される。
- 移転価格の調整は財務諸表においては必ずしも必要ではないが、対応調整税総額は税負債とみなされて財務諸表に記載されなくてはならない。
- 社印及び法人代表者による署名又は押印の義務
- 費用分担契約(CCA/CSA)は独立企業間原則に則り適用され、費用分担支払いが控除される。
|