法制度
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- 1961年所得税法第92条~92F条で、移転価格税制について個別に規定されている。
- 2016年2月29日にインド予算案2016(Union Budget2016) でCbC報告書の導入に関する条項が公表された。同条項はOECDのBEPS Action13に基づいており、Assessment Year2017-18より有効。マスターファイルについては現在では詳細の基準については規定されていない。ローカルファイルは現行維持。2016年からの会計年度から適用開始。
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移転価格算定方法
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- 5つの移転価格算定方法(CUP、RSM、CPM、PSM、TNMM)、さらに6番目の方法として“その他の方法”も可能であるとしている。CBDTは、“その他の方法”は無形資産、リストにない株式、あるいは固定資産などの移転や、収益配賦、保証の引当金などのような独自の取引に対して適用されるとする。
- どの方法を使うかの優先順位はなく、一番適切な方法を選ぶ。
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申告時の情報開示
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- 国外内関連者の国際取引及び特定の国内取引のある会社は会計士報告書(Form No.3CEB)の確定申告時提出義務あり。移転価格分析、独立企業価格と算定方法を記載し、提出しなくてはならない。文書には、公認会計士の署名が必要である。開示義務を怠ると、取引金額の2%がペナルティとして課される。
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移転価格文書
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- 年間の関連者国際取引が10,000,000INRを超える会社、あるいは年間取引が50,000,000INRを超える国内取引は、移転価格について「移転価格情報/文書」が求められる(Rule10D of the Income Tax Rule, 1962)。これらは同時文書でなければならない。
- 移転価格文書は年ごとに更新され、完全な報告書として所得税の申告期限までに準備しなくてはならない。
※インドではすべての納税者にとっての事業年度は4月1日に始まり3月31日に終わる。納税者は次の事業年度の11月30日までに税務申告とともに移転価格会計報告を提出しなくてはならない。文書は同時提出する必要はない。
- 当局から文書の提出要請があった場合には、30日以内に提出しなくてはならない。
(要求すれば、一度の30日延長が認められる)
- 移転価格文書は申告年度末日から9年間保管。
- 2016年2月に公表されたUnion Budget2016ではCbC提出者については、連結総収入金額が750百万ユーロ超のインドの多国籍企業の親会社あるいはインドにおける任命グループ企業(designated group entity)と規定されている。提出日は法人税申告書の提出時(11月30日)。
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罰則
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- 移転価格情報/文書の保存義務違反、当局への提出義務違反 – 国外、国内取引それぞれ取引価格の2%。
- 会計士報告書の提出義務違反 – 100,000INR。
- 所得更正処分 – 追徴課税の100%~300%。
- 国外移転所得の輸出免税/減税特典の適用除外。
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挙証責任
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APA
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- 一国内、二国間、多国間APAが可能。匿名による事前相談も可能。
- APA期限は5年。ロールバックは遡って4年認められる。
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その他
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- 課税対象は、同一支配関係を含み、直接的、間接的な支配関係にある企業間取引である。以下の関連性があれば移転価格税が課税;
1. 26%以上の株式保有 / 2. 取締役会の支配 / 3. 借入/保証 / 4. 無形資産の相互依存 / 5. 原材料と製品への影響 ※5,000万INRを超える国内取引についても課税対象となる。
- 複数年データの利用及びレンジ概念についても、グローバルスタンダードに則って導入。
- CBDTはセーフ・ハーバー・ルールを導入。これにより、納税者側の法令順守に係る負担を減らしている。
- 税務当局は、ロケーションセービングの一部をインドで計上すべきとして、インドでの役務提供活動に対して高い利益率を求める(多くの場合フルコストプラス30%~40%での調整額提示)
- 費用分担契約(CSA)が適用される。公的なガイドラインはないが、研究開発に対する分担金は損金の額に算入可能。
- 税務申告上の移転価格と財務諸表の価格は同じでなくてもよい。財務諸表の移転価格と独立企業間価格の違いは納税者によって課税申請することができる。
- 移転価格調整期間は48時間。
- 2015年3月期からレンジコンセプトを導入。
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