ニュース
コラム

商船三井、当社と米国子会社との取引に係る移転価格税務調査の件

当社は、東京国税局から移転価格に係る税務調査を受けており、2002年度(2003年3月期)から2008年度(2009年3月期)までの当社 と米国コンテナ・ターミナル子会社(以下 当社子会社)とのコンテナ荷役料金取引について、2010年6月下旬に法人税の更正処分の通知を受ける見込みとなりました。

予想される更正処分の内容は以下のとおりです。

(1) 当社が当社子会社に支払ったコンテナ荷役料金の単価が市場価格(税法上の独立企業間価格)と比べて過大であるとして当社子会社への所得移転があったとの認定(更正所得金額 約63億円)

(2) アライアンス契約(共同運航契約)に基づくコンテナ・ターミナル相互利用契約の実施の対価として当社子会社に支払った費用が寄付金に該当するとの認定(更正所得金額 約42億円)

追徴税額は、法人税、住民税及び事業税(付帯税を含む)をあわせて約53億円と見込まれます。
当社は、これまで日本、米国の税制に従い適切な納税を行ってきたと認識しており、今回の東京国税局による指摘は到底納得のいくものではありません。正式 に更正処分を受けた段階で、速やかに当局に対し更正処分の全部取り消しを求めて異議申し立てを行うと同時に、二重課税を解消するために日米税務当局間の相 互協議の申し立てを行う所存です。
なお本件に伴い、当社2010年度第1四半期決算(7月29日公表予定)で約30億円の法人税等を見積り計上する予定です。これによる2010年4月27日に公表した今期業績予想の修正はありません。
対象となる取引の概要
(アライアンス協定)
当社のコンテナ船事業におけるアジア⇔北米西岸航路は、提携船社(以下 A船社)とのアライアンス協定(異なる会社のコンテナ船のスペースとコンテナ・ターミナルを相互に利用する契約)を結んでいます。寄港頻度を増やし、サー ビスを充実させることがアライアンスの目的です。
(ロサンゼルス港のターミナル相互利用)
コンテナ船事業においては、港湾地区に大規模な荷役設備を有するコンテナ・ターミナルが必要です。米国西岸のロサンゼルス港では、当社とA船社がそれぞ れの子会社を通じて自営ターミナルを運営し、相互に利用しています。すなわち、当社コンテナ船に積まれたA船社のコンテナは当社のコンテナとともに当社子 会社のターミナルで荷役され、A船社のコンテナ船に積まれた当社のコンテナはA船社のコンテナとともにA船社のターミナルで荷役されます。
(ターミナル荷役料金の取決め方法)
当社子会社とA船社のターミナル子会社はそれぞれ独立した企業ですので、もともとターミナル荷役料金には差があります。しかし上述の通り、当社とA船社 とはターミナルの相互利用を決めており、相手のターミナルを使用することによる利益・不利益が生じないような荷役料金の設定が必要となります。
通常のコンテナ荷役料金の取り決めにおいては、ターミナル借受料、港湾作業員労務費、一般管理費等の間接費、などターミナルで発生する全てのコストを考 慮して決定されます。しかし当社とA船社とはターミナル借受料、港湾作業員労務費のみを対象コストとして「二社間の共通料金」(以下 共通料金)を設定し、相手船社のターミナルに支払うこととしました。この「共通料金」では一般管理費等の間接費をターミナル子会社が回収できないので、そ れぞれのターミナル子会社の親会社である各船社が負担することにしています。
コンテナ取引のコスト概念図は、次のとおりです。

*上記のような一部コストを対象とする「共通料金」を取り決めた理由
当社とA船社のそれぞれのターミナルで扱われるコンテナ数量が必ずしも等量交換となるとは限らないため、「共通料金」の算定対象コストをパススルーのコス ト要素である港湾作業員労務費及びターミナル借受料に限定したものです。この結果、両ターミナル子会社におけるコンテナ取り扱い数量の不均衡に起因するコ ンテナ荷役料金の調整が不要となります。
当社子会社で荷役された当社のコンテナについて、当社は当社子会社に「荷役料金」を、A船社のコンテナについては、A船社が前述の「共通料金」を支払います。
A船社のターミナルで荷役された当社コンテナについて、当社は当社子会社に「荷役料金」を支払い、当社子会社はA船社のターミナル子会社に「共通料金」を支払います。
当社子会社の荷役料金と「共通料金」に対する見解の相違
<事実関係>
「共通料金」は、アライアンス協定を結んだ当社とA船社の間で適用される特殊な荷役料金です。通常のコンテナ荷役料金の取り決めでは「共通料金」の対象コストに加えて、一般管理費等の間接費がコストとして当然に加算されるためです。
<東京国税局の見解>
「共通料金」を市場価格(税法上の独立企業間価格)とみなし、当社が当社子会社に支払う「荷役料金」が当該市場価格と比較して過大で、「共通料金」との差額が日本の法人である当社から子会社に移転した所得であると認定しております。
<当社見解>
当社とA船社が相互のターミナル子会社におけるコンテナ荷役料の精算の便宜のために設定した「共通料金」を市場価格(独立企業間価格)とみなす東京国税 局の見解には事実の誤認があります。当社は、同じロサンゼルス港での他の取引例を調査するなどして、当社子会社に支払った「荷役料金」が市場価格の実勢に 照らして妥当な水準であると主張しています。
当社子会社を介してのA船社ターミナル料金の支払いに対する見解の相違
<事実関係>
当社は、A船社ターミナル子会社で荷役された当社コンテナにつき、当社と当社子会社が取り決めた「荷役料金」を当社子会社に支払い、当社子会社はA船社ターミナルに「共通料金」を支払います。
また、A船社は当社ターミナル子会社で荷役されるA船社コンテナにつき、「共通料金」を支払います。従って、A船社からの収入では、当社子会社は「一般管理費等の間接費」を回収できていません。
<東京国税局の見解>
当社が子会社に支払った「荷役料金」のうち「共通料金」との差額に対して、当社子会社による役務提供の事実が無いので、当社子会社に対する寄付金と認定しております。
<当社見解>
当社コンテナが同じロサンゼルス港で荷役されながら利用するターミナルによって荷役料金が異なる煩雑さを回避し、一元的な損益管理を行うため、当社から A船社ターミナル運営会社への荷役料金を 当社子会社経由で支払っています。
また、当社子会社はA船社からの収入では、「一般管理費等の間接費」が回収できないので、未回収額を勘案した「荷役料金」を当社が支払う必要があります。
当社は日本、米国の税制に従い適切なコンテナ荷役料金設定をしており、当局が指摘するような所得移転の事実や米国子会社に寄付を行う意図、動機は全くありません。従い、今回の東京国税局による指摘は到底納得のいくものではなく、前述の異議申し立てを行うものです。