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課税当局、追徴課税からダイキンに18億円還付

中国の子会社との取引額を圧縮したとして、大阪国税局などに約35億円を追徴課税された大手空調機器メーカー、ダイキン工業(大阪市)がこのうち約18億4000万円の還付を受けたことが分かった。申告漏れとされた所得は中国でも課税されており、ダイキンは「二重課税に当たる」として日中の協議を申請、両国が課税額を見直していた。

関係者によると、大阪国税局は2008年の税務調査で、ダイキンが中国の子会社から受け取った特許使用料などのロイヤルティーについて「適正価格より安い」と判断。企業が税率の低い海外にわざと所得を移すのを防ぐ「移転価格税制」に基づき、06年3月期までの2年間で約78億円の申告漏れを指摘した。

ダイキンは地方税を含めた追徴税額約35億円を全額納付する一方、二重課税に当たるとして、日中が適正な取り分を話し合う相互協議を申請した。

日中の課税当局は今年3月、申告漏れの総額を約34億円に減らし、日本側が約18億4000万円を還付することで合意。減額分は全て中国での所得と認定した。納付額の利子にあたる還付加算金2億数千万円を合わせた総額は約21億円。

ダイキンは「子会社との取引価格は適正だった」として、更正処分の異議申し立てもしていたが、この合意を受けて取り下げた。

国税局は、国内の企業と海外の関連会社との取引価格を、資本関係がない企業間のケースと比べて不当に安いと判断した場合、移転価格税制を適用して追徴課税する。ピークの05事務年度(05年7月~06年6月)には全国で計2849億円の申告漏れを指摘した。

一方、海外での課税分に追徴すると、企業にとっては二重課税となり、企業は相手国との相互協議を申請できる。今年に入り、同様の申請に基づいてデンソー(愛知県刈谷市)やアシックス(神戸市)などが還付を受けたことが明らかになっている。
(出所:毎日新聞)