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HOYAの課税事案のその後の経過

9月2日の日経新聞に、6月末に東京国税局から200億円の課税を受けたHOYAの事案のその後の経過が掲載されていました。記事では『8月20日、精密大手HOYAは法人課税を巡り、東京国税不服審判所に審査を請求した。」となっているので、異議申立ての手続きは飛ばしたということなのでしょう。
武田薬品工業の事案では、異議申立ての段階で約8割の課税が取り消されるなど、それなりに意義のある制度なのですが、異議申立ての手続きを飛ばしたということは、最初から裁判で決着をつけるということを意図しているのかもしれません。
また、論点は「日本親会社から東南アジア子会社への無形資産の譲渡対価」もしくは「利益分割法の適用」のどちらかだと思っていましたが、『「東南アジアの子会社が完成させた技術で、使用料を払うのは当然だ」とするHOYAに、東京国税局は「本来は日本本社が持つべき製造技術だ」と主張。』となっているため、「日本親会社から東南アジア子会社への無形資産の譲渡対価」ではなく無形資産も保有関係についての争いのようです。おそらく、無形資産は東南アジア子会社のみが保有するのではなく、日本親会社も保有すると認定し、利益分割法を移転価格算定方法として課税されたということなのでしょう。
この事案はおそらく裁判での決着となるでしょうが、無形資産とは何かという実務上の課題に対して一定の結論が出されるのではないでしょうか。