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OECDが多国籍企業の租税回避に対処する国際協調体制に関するG20諸国向けの第1次BEPS提言を発表

2014年9月16日

経済協力開発機構(OECD)は、本日、税源浸食と、納税の回避を狙った人為的な利益移転に歯止めをかけるため、一連の国際的な課税規則の設定を意図した税源浸食と利益移転(BEPS)に係るOECDとG20の共同プロジェクトに基づき、多国籍企業の租税回避に対処する国際協調体制に関する第1次提言を発表しました。
アンヘル・グリアOECD事務総長は、今般のOECDの提言を発表するにあたり、「G20諸国は、税源浸食と利益移転を、世界の税収、主権、および公平な税制を脅かす深刻なリスクと捉えています。今般の提言は、現行の税制の隙間や抜け穴を突いて、より有利な課税措置を受けられる場所に人為的に利益を移転する企業の税務計画戦略に、国際的に合意し協調した対応をとる上で、欠かせない要素になると考えています。」と述べました。
OECDの取組みは、G20諸国の要請により、2015年までに対処するべき主要要素15項目を定めたBEPS行動計画に基づいて行われているものです。OECDとG20の共同プロジェクトは、参加国政府が、新たな国内規制が二重課税、コンプライアンス上の不当な負担、または合法的な国際取引に対する制約を招くことがないよう取り計らいつつ、自国の税源を確保すると同時に、納税者に一層高い確実性と予測可能性を提供できるよう、支援することを目指しています。

本日発表した行動計画の最初の7項目は、次の点で参加国を支援することに主眼を置いています。

A. ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメント(税制のミスマッチを利用したハイブリッド事業体・商品の二重非課税等)の効果を無効化するような税法や条約のモデルの規定を新たに策定して、国際的に法人税課税に一貫性を持たせる(行動2)。
B. 国際基準上の特典を本来意図されていた形に戻し、租税条約の濫用を防止するよう、課税および関連する実態を修正する(行動6)。
C. 無形資産の主要分野における移転価格上の問題に対処して、移転価格の結果と価値創造を整合させる(行動8)。
D. 移転価格関連の文書化を改善すること、および国別報告の雛型(テンプレート)を定めることで、税務行政の透明性を改善して、納税者側にとっての確実性および予測可能性を高める(行動13)。
E. 電子経済の進展に伴う課題に対処する(行動1)。
F. 2国間租税条約を改正する多国間協定策定の実行可能性について報告することで、BEPS行動計画の円滑な実施を促進する(行動15)。
G. 有害な税制上の慣行に対応する(行動5)。

OECDの今般の提言は、9月20日から21日までの間、ジョー・ホッキー豪財務相主催により同国のケアンズで開催される次回のG20財務相会合で、主要な議題としてとりあげられる予定です。
提言の対策は、OECD加盟国、G20諸国、開発途上国、および財界、労働組合、学界、市民団体を代表する利害関係者の間で透明性が高い集中協議を重ねた末に、合意に至ったものです。
BEPS行動計画の残りの項目については、2015年に最終承認を受けるべく、今後G20諸国に提示される予定ですが、それらの項目に関する決議によっては、今般の提言にも影響が生じる可能性があります。かかる決議の際には、G20諸国は行動計画全体の実行策についても協議する予定です。