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EU、アマゾンのルクセンブルク優遇税制を本格調査

欧州委員会は、米アマゾン・ドット・コムがルクセンブルクで利用する税制の本格的な調査に踏み切った。同様の調査は既に、アップルやスターバックスへも広がっている。

EU加盟各国が税収の拡大に苦戦し、重い税負担が世論の反発を呼ぶ中、欧州全体で多国籍企業の税金逃れに対する取り締まりが強化されている。

欧州委員会は今回、アマゾンが2003年からルクセンブルクで享受する税制が実質的に納税額を抑制している懸念があると表明した。EU法で禁じている選択的な国家補助に当たると結論付けられれば、ルクセンブルク政府が該当金額をアマゾンから回収するよう求められる可能性がある。

欧州委員会は、ルクセンブルク政府が8月にアマゾンを含む「多数の件に関する情報」の提供に応じたと明らかにした。調査対象が一段と広がる可能性に含みを持たせた格好だ。

アマゾンの広報担当者は、ルクセンブルクで特別な税制措置を受けたことはないと説明。「ルクセンブルクで事業展開する他の企業と同じ税法が適用されている」とした。

ルクセンブルク財務省は、EUの調査に全面的に協力しつつも「この件では国家補助という主張に根拠がないと確信している」と述べた。

調査で焦点となるのは移転価格税制だ。これはグループ内の企業間で製品やサービスをやりとりし、利益を移転した際に課税する仕組みだ。利益は異なる国に移転される場合が多く、それ自体は違法ではない。だが、各国の税務当局が特定の企業に対して市場価格を反映しない特別な社内価格での取引を認めた場合、EUの法律に抵触する。

欧州委員会のアルムニア副委員長(競争政策担当)は記者会見で、アマゾンに対して2003年から設定されているルクセンブルクの税制措置が、課税所得の過小報告を可能にしている恐れがあると述べた。ルクセンブルク法人のアマゾンEU S.a.r.L.は別の関連企業に税控除可能なロイヤルティーを支払っている。この関連企業はルクセン

ブルクに登記されているものの、同国の所得税法の適用を受けていない。

EUは加盟28カ国の平等な競争を維持するため、各国政府が個別企業へ選択的に優遇措置を供与することを禁じている。

これまでアマゾンは、極めて利ざやの薄い小売業で投資も多額なため課税所得が少ないと主張してきた。規制当局への届け出によると、2013年は米国の課税所得が7億0400万ドル、連邦・州納税充当金が1億4400万ドル。米国以外では課税所得がゼロ(1億9800万ドルの赤字)、納税充当金が1億7300万ドルだった。
(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル)