各国移転価格NEWS~韓国~
韓国の移転価格については、1996年1月に制定の「国際租税調整に関する法律」の中で法制度化されました。基本的に、独立企業間原則・OECD移転価格ガイドラインに準拠した形で作成されています。2010年の移転価格税制の改正に続き、2015年12月2日の議会ではOECDのBEPSに係る要求を施行する法が承認されました。これより、国外関連取引のあるすべての国内企業および外資系企業は、マスターファイルとローカルファイルの両方の提出について規定されました。
続いて同年12月15日、韓国企画財政部(MOSF)は、BEPS行動13にのっとり、マスターファイルとローカルファイルからなる国際取引統合報告(CRIT)を導入しました。直後23日には租税法改訂(「国際租税調整法」LCITA)が公表され、CRITに関するガイドラインを規定しました。同改訂により、韓国に恒久施設を持ち、純売上高が1,000億ウォン超である国内外すべての法人、あるいは500億韓国ウォン超のクロスボーダー関連者取引を行う国内企業、あるいは外資系企業はマスターファイルとローカルファイルの両方の提出が求められます。以下の通り規定されました。
- 同事業グループのもとで、ローカルファイルを提出する企業の親会社はマスターファイルを提出しなくてはならない。もし、親会社が韓国にない場合、国外親会社がマスターファイルを提出しなくてはならない。
- 移転価格文書を提出しなくてはならない韓国内のすべての企業はローカルファイルを提出しなくてはならない。
さらに今年に入り7月28日に韓国の企画財政部は、OECDのBEPSイニシアティブを実行していくことを目的としている改訂法を起草しました。LCITAに関する第11条とLCITAの大統領施行令の第21条の2であり、同案ではCbC報告書報告書を導入について規定されています。1兆ウォン以上の連結売上のあるMNEやMNEの究極の親会社はCbCの提出が求められます。もし、親会社がCbC報告書を要求しない国に所在する、あるいはCbC報告書の交換を容易にできる状況にないのであれば、代わって韓国の事業体がCbC報告書を提出する義務があります。
また同改訂では、すでに承認されているマスターファイルとローカルファイルの修正案も含まれます。たとえばAPA申請書やローカルファイルの概念の親和性を考慮し、改訂法案ではMNEsによるローカルファイル提出が免除されます。これは、すでに履行されているAPAの及ぶ関連取引で、独立企業間価格で取引をおこなっているMNEsに適用されることになります。APA申請書を提出されているが、まだ履行されていない場合には同免除は適応されません。他にも、今回の改訂法案では、以前は法人税申告書提出期までには提出しなくてはならなかったマスターファイルとローカルファイルは、事業年度終わりから12か月以内に提出すればよいとされます。これより、MNEsがマスターファイルとローカルファイルを用意する期間が延長となりました。
なお、文書の提出言語はローカルファイルは韓国語のみですが、マスターファイルは英語も認められます(提出一か月後以内に韓国語に翻訳した文書提出)。また電子による提出が可能です。