各国移転価格NEWS~フランス~
フランスで移転価格が初めて法に規定されたのは、1993年の法人税法第57条及び関連する国税通則法においてです。移転価格文書化規定が導入されたのは2011年度からで、2013年12月6日付の税法において文書提出が義務付けられました。国外の関連者と株式の50%以上の保有関係にあり、売上高が4億ユーロ以上である会社が対象となります。
2014年9月16日にはフランス税当局により、2257様式(簡易移転価格文書様式)とガイドラインが公表されました。フランスでは、移転価格文書としてフルドキュメンテーションとフルドキュメンテーションから抽出した簡易版が存在します。フルドキュメンテーションは、French Tax Proceedings Book のAriticle L13AAに規定されおり、税務調査時にフランスの税務当局に提出する必要があります(※ローカルファイルを含む/毎年更新必要)。EUTPD(Europe Union Transfer Pricing Documentation )の影響を受け、グループ概要及びフランスに所在する会社の概要/コストシェアリング等に関する書面での契約書/適用されたOECDの価格算定手法の正当性、について提出する義務あります。他方、フルドキュメンテーションから抽出された簡易版は、QuinquiesBのArticle223に規定され、税務当局に毎年の提出を義務付けています。公表された2257号様式では、法人税申告書の提出期限から6か月以内に、フランス法人がフランス語で税務当局に提出する必要があることが規定されています。提出する内容は、グループに関する一般的な情報(概要/無形資産の性質)/フランス法人の個別情報(取引種類ごとの関連者取引金額の合計、関連者情報、移転価格算定方法)となります。同文書を提出しない場合の罰則は設けられていませんが、提出がない場合は調査となり、完全な移転価格文書を要求される可能性が高くなります。これに応じない場合は、更正額に対して最大5%のペナルティが課される可能性があるほか、推定課税のリスクも残ることになります。
最近ではCbC報告書の適用についてもフランス内閣により承認されました。2016年9月29日に政令N゜2016-1288が公表され、CbC報告書の具体的な適用が示されました。同法はOECDのBEPS行動13に沿ったものとなっています。以下、概要となります。
- CbC報告書に従い、条件を満たす事業体は総合口座を準備しなくてはならない。
- 合併条件に見合わない企業やブランチもCbC報告書に加えられなくてはならない。
- 特定の領域に置かれているすべての企業はCbCにて報告されなくてはならない。
- 設立事業体とは別の国で合併された事業体は両国で報告されなくてはならない。
- CbC報告書で報告される財務データは、すべての事業体に一貫し、会社の連結財務諸表、法定会計、管理口座から引用されなくてはならない。
- 申告されるデータはグループ内の究極の親会社の事業年度のものでなくてはならない。異なる事業年度で子会社や支店のデータが報告される場合は、究極の親会社の事業年度の前の、最近の事業年度のデータを報告しなくてはならない。
- CbC報告義務のあるフランスの事業体は、年の法人所得税納税期にCbC報告書の提出の義務があるか留意しなくてはならない。
- 別の事業体がCbC報告書を提出するよう求められるとき、この事業体の名前や所在地フランスの会社の法人税申告書に示されなくてはならない。
- CbC報告書は電子申告が可能である。
なお、文書の言語は原則としてフランス語ですが、状況に応じて英語が認められる場合もあります。場合により、フランス語への翻訳が求められます。