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米国における非居住者(個人)と外国法人等(会社等) に対する源泉徴収制度

米国では、グーグルが米国内、国外のユーチューブのクリエーターに支払うロイヤリティーに対し、早ければ、今年の6月から源泉所得税を徴収するとのアナウンスがされました。

そこで、今月は、米国での源泉徴収制度についてお話をいたします。

1  制度の概要

米国の国内法では、Withholding agent(以下「源泉徴収義務者」といいます。)は源泉徴収の対象となる所得(Fixed or determinable annual or periodical income・以下「FDAP」といいます。)を支払う際に30%の税率により所得税を徴収します。

ただし、租税条約による税額の軽減・免除の対象となる者については、税額の軽減・免除を行います。(この場合には、租税条約の恩典を受ける者であることを証明するFormW-8BEN-E(法人の場合)の提出が必要となります。)

2  対象所得と所得源泉地の決定基準

FDAP(源泉徴収対象所得)

所得の種類 所得源泉の決定基準
Pay for personal sevices
(人的役務の提供)
人的役務の提供場所により所得源泉地を決定
Dividends
(配当)
支払者が米国法人か外国法人かにより所得源泉地を決定
Interest
(利息)
支払者の居住地により所得源泉地を決定
Rents
(賃貸料)
資産の所在地により所得源泉を決定
Royalties-Patent, Copyrights, etc
(工業所有権・著作権等)
資産の使用地により所得源泉地を決定
Royalties-Natural resources
(ロイヤリテイ)
資産の使用地により所得源泉地を決定
Pensions:Distributions Attributable to contributions
(年金)
非居住者の期間に提供された人的役務の提供地により所得源泉地を決定
Pensions:Investment Earnings on contributions
(年金信託)
年金信託の所在地により所得源泉地を決定
Scholarships and Fellowship grants
(奨学金等)
支払者の居住地により所得源泉地を決定
Gurantee of indebtedness
(債務保証)
①債務者の居住地により所得源泉地を決定
②支払いが米国の事業に密接に関連するか否かにより所得源泉を決定

3 源泉徴収義務者(Withholding agent)の報告義務

源泉徴収義務者は、源泉徴収した翌年の3月15日までに、源泉徴収した事績を記載したForm1042-S(我が国の法定調書に該当)を米国の国税庁(IRS)に一部、提出し、FDAPの受領者(Recipient)に対し3部交付しなければなりません。

一部は、源泉徴収義務者が保管することになります。

Form1042-Sの提出先
CopyA・・・・・・・・・・IRSへ提出
CopyB~CopyD・・・・・・受領者へ交付
CopyE・・・・・・・・・・源泉徴収義務者保管

4  租税条約の軽減又は免税を受けるための手続き

受領者は、FDAPの支払いを受ける時までにFormW-8BEN-E(法人の場合)を源泉徴収義務者に提出し、租税条約により免税(税額なし)を受ける者であることを明示する。

5  源泉徴収された場合の還付手続き

  1. 上記2の報告期限(翌年3月15日)前の対応
    源泉徴収義務者に対しFormW-8BEN-E(法人の場合)を提出し、源泉徴収義務者から徴収税額の還付を受ける。
  2. 上記2の報告期限(翌年3月15日)後の対応
    IRSから納税者番号を取得し、Form1120-F(法人の場合)により確定申告を行い還付を受ける。