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国外財産と Unclaimed property(未請求資産)

平成24年度の税制改正により「国外財産調書制度」が創設され、以後、国外に5,000万円を超える財産を保有する富裕層は、毎年、日本の税務当局に、その財産の報告義務があります。

国外に財産を保有していたとしても、その財産の管理又は運用を行わず、放置している資産は未請求資産として、財産所在地国の法令により、行政当局に引渡されることもあるようです。国外財産調書作成の際には、財産の確認と未請求資産に関する検討も必要になります。

1 国外財産調書の提出義務

居住者(「非永住者」を除く。)は、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、その国外財産の種類、数量および価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに、住所地等の所轄税務署長に提出しなければなりません。

(注)国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合または国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがあります。

2 Unclaimed Property(未請求資産)とは=米国ニュージャージ州の場合

  1. 未請求資産とは、正当な所有権者がある一定の期間、権利行使等を行わない有形、無形の資産(不動産、預金、利子、株式、債券、配当等)をいいます。
  2. 未請求資産と確定した場合には、当該資産は州政府に引渡され、州政府は正当な権利者を保護するために、当該資産の返還請求があるまで、Unclaimed Property Trust Fund で預かることになります。
  3. 州政府が把握している未請求資産については、州政府の Unclaimed Property Administrationのウエブサイトから閲覧できます。

3 国外財産調書を作成する際の注意事項

国外に財産を保有していたとしても、その財産の管理又は運用を行わず、放置している資産は未請求資産として、財産所在地国の法令により、一時的に行政当局に引渡 されることもあるようです。

行政当局に引渡された資産を取り戻すためには、複雑な手続きが必要となりますので、国外財産調書作成の際には、次の事項について、今一度、確認が必要です。

  1. 財産の種類
  2. 財産の所在地
  3. 財産の名義人
  4. 財産の運用及び活用の状況
  5. 財産の果実の取扱い
  6. 財産所在地国の未請求資産に関する法令の検討

4 資産管理者からの未請求資産の確認の事例

ある日、突然、海外から次のようなレターが送付されることがあります。
このレターは、未請求資産について資産管理者から所有者の正確な住所と資産 の所有の意思を確認しようとするものです。

RE: ・・・・(未請求資産について)

Dear ・・・(レター名宛人・未請求資産保有者)
According to our records as of ・・・・ you appear to be the owner of, or have an interest in the unclaimed property identified above.
Abandoned property law require us to remit unclaimed property to the state whose address on the account, check, or security if we do not have confirmation of the owner’s correct address and/or knowledge of the property after a period of inactivity.

[名宛人は Unclaimed Property(未請求資産)を保有していること、送付人が名 宛人の正確な住所と未請求資産の保有意思を確認できなかった場合には、放棄 財産法は送付人に対し当該未請求資産の行政への引き渡しを要求すること。]

Sincerely,
・・・・(レター送付人・資産管理者)