法制度
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- フィリピンの税法は内国歳入法(National Internal Revenue Code)を基準。補足、修正するものとして歳入規則(Revenue Regulation;RR)や、Revenue Memorandum Order;RMO やRevenue Memorandum Circular;RMCがフィリピン内国歳入庁(BIR)より発行。
- 1998年に関連者間取引の調査とOECD移転価格ガイドライン準拠について規定したRMO No1-1998が発効。
- 1999年に関連者間融資と米国内国歳入法第482条準拠について規定したRMO No.63-1999が発効。
- 諸外国と同様に移転価格取引に対する課税強化が企図され、2013年1月23日、Revenue Regulations No.2-2013(RR No.2-2013)発布。移転価格に関する独立企業原則の適用についてのガイドラインを示している。同ガイドラインはOECDの移転価格ガイドラインに基づいている。
- 2013年2月より適用。
- 2014年にAPAを規定するガイドラインの草案が公表。
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移転価格算定方法
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- OECDの移転価格ガイドラインに準拠し、最も適切な移転価格算定方法があげられる。具体的には以下の方法。
独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RPM)、原価基準法(CPM)、利益分割法(PSM)、取引単位営業利益法(TNMM)
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申告時の情報開示
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移転価格文書
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- RR NO.02-2013において、納税者は同時移転価格文書を作成しなくてはならない。納税時に提出する義務はないが、当局から要求された場合に提出が必要になる。同規則において文書化に必要な10項目は以下の通り挙げられる。
1. グループ組織構造 / 2. 事業内容/産業・市場状況 / 3. 国外関連者取引 / 4. 前提条件、戦略、方針 / 5. 費用分担契約 / 6. 比較可能性分析、機能・リスク分析 / 7. 移転価格算定方法の選定 / 8. 移転価格算定方法の適用 / 9. 背景資料 / 10. 文書の索引
- 言語はフィリピン語、英語、スペイン語のいずれかで書かれなくてはならない。他の言語で書かれた場合には翻訳されなくてはならない。
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罰則
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- 移転価格についての罰則の特別な条項はなし。
- 一般的な罰則規定により、移転価格調整における賦課課税の不備に対して25%のペナルティ税と20%の利子税が課せられる。当局から移転価格文書の提出要求があった場合に提出できない場合は、最大で50,000ペソのコンプロマイズ・ペナルティが科せられる可能性がある。
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挙証責任
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- 納税者側。ただし、納税者が独立企業間原則に基づいた取引であることを証明できた場合には、挙証責任は当局に移る。
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APA
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- 新移転価格ガイドラインのもとで一国内、二国間、多国間APAが可能となった。2014年9月にAPAガイドラインのドラフトが発効された。
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その他
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- フィリピンの移転価格税制は、国外の関連者取引のみならず、国内の関連者との取引についても適用される。なお、関連者の定義については特定の資本持分比率による基準は示されておらず、支配関係が認められる場合には適用される。その基準として、経営への参加、事業のコントロール、資本関係が挙げられる。
- 比較対象会社の選定について、移転価格規則では触れていない。国内比較会社を好ましいとしながらも、国外比較対象会社でも受け入れられている。
- CCA/CSAは適用されるが、既存の無形資産に対しては適用されない。
- 通常、移転価格はクロスボーダーの取引が対象であるが、法人税免除などを受けている場合には国内取引においても移転価格が生じる可能性がある。特にフィリピンではBoard of Investment(BOI)やPhilipine Economic Zone Authority(PEZA)。
- 時効は通常の税務調査と同じく、原告は申告期限から起算して3年。税務調査の段階で不正が見つかった場合には10年さかのぼる。
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