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各国移転価格NEWS~ヴェトナム~【2】

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同コラムでは以前、ヴェトナムの移転価格税制の動きについて、ヴェトナム財務省が2016年10月3日にBEPSの奨励する移転価格を採用し、施行することを意図した移転価格に関する法令案を公表した旨、また、その概要について取り上げました。同ドラフトは「形式より実体」を基準としたヴェトナム政府の移転価格税制の新たな指針が導入され、同国の移転価格税制に向けての関心の高さがうかがえる法案でした。
さて、このたびヴェトナム政府は同法案を承認し、新移転価格税制として2017年2月24日にDecree No.20/2017/ND-CP(Decree20)を発行しました。新たな法令では、移転価格文書はマスターファイル、ローカルファイル、国別報告書を含まなくてはならないことを明確に述べています。関連して、移転価格文書に関しては以下のように定められています。

  • ヴェトナムの納税者は、究極の親会社が国別報告書を提出する義務があるときには、国別報告書のコピーを提出しなくてはならない。
  • CbC報告書は、その年の税申告年度の連結グローバル収益が18兆VND(約7億5000万ユーロ)以上のヴェトナムの法人に対して要求される。
  • 移転価格文書はヴェトナム語で準備されていなくてはならない。
  • 税務調査のあった場合、税務当局の指示に従い、営業日15日以内に移転価格文書を提出しなくてはならない。
  • 税務調査前の調査手続き期間に、地方税務当局より要求を受け取ってから移転価格文書を提出するまでに営業日30日間ある。妥当な理由が説明できる場合は15日間の延長が認められる。
    また、Decree20では、移転価格文書の“セーフハーバー”では、ヴェトナムにおける移転価格文書の要求から免除される閾値が規定され、下記該当者は免除対象となります。
  • 納税者の年間収益は500億VND(約227万USドル)を超えていない。かつ、関連者取引の総額が300億VND(約136万USドル)を超えていない。
  • 納税者の収益が2、000億VNDを超えない(約980万USドル)、営業利益やの割合や販売収益に対する法人税の割合が、卸売業者に対して5%、製造業者に対して10%、委託製造業者に対して15%を超えている。

セーフハーバーの適用除外はAPAが適用され、年間報告も提出している納税者に対して有効です。しかしながら、APAによって対象とされていない取引のある納税者は、新しい移転価格要求に従わなくてはなりません。
上記でセーフハーバーによる免除に当てはまり移転価格文書規則から免除される納税者もまた、開示義務Form No.01にしたがった開示要求に従わなくてはならならず、

①適用される移転価格メソッド
②取引き内容と価格
③関連者の居住国

等の情報を事業年度終わりから90日以内に報告しなくてはなりません。
さらに新たな移転価格規則では、形式より実体を重んじ、独立企業間要求やDEMP(開発、改良、維持、保護、活用)機能を考慮し、関連者間取引による税収が減収した場合には再度その取引を検討することが可能となります。
同法令は2017年5月1日から施行されています。