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各国移転価格NEWS~イタリア~

イタリアにおいて、移転価格文書化の実行にむけ、2017年2月、OECDガイドラインに準拠したかたちの省令( Decreto Ministeriale )が、イタリア経済財政相により制定されました。国際社会において急速に移転価格の文書化が規定される状況下で、OECDとG20とのBEPS共同プロジェクトの行動計画13を実行するとの表明が行われたわけです。同省令では、国別報告書について文書提出義務者、報告事項、提出期限等が規定され、2016年1月より適用とされています。また同省令では、他国との情報交換についても積極的に行うとし、イタリア税務当局は事業年度終了から15か月以内(2016年度は18か月以内)に国別報告書に係る情報を他国の税務当局と情報交換することを予定しています。
このようにイタリアでも急速に移転価格に係る規定が整えられていくなか、2017年11月28日、税務当局は国別報告書の施行に係るガイドライン(no.275956)を公表しました。ガイドラインでは、どの企業が国別報告書を提出しなくてはならないか(2015年1月1日から始まる事業年度で7億5千万 ユーロを超える多国籍企業)、国別報告書で提示されるべき情報、国別報告書のための言語について定められています。また、国別報告書が、当該多国籍企業の事業年度の終わりから12か月以内に電子申告で提出されることが要請されてもいます。
なかでも国別報告書で提示されるべき情報については、First Table、Second Table、Third Tableの3つの異なる表により提示されなくてはならないことが定められました。First Tableでは、多国籍グループ企業の税を支払う管轄区域(恒久的施設(PE)の場合、それらが置かれている管轄区域)、総収入、税引前利益、納付する所得税額、法定資本、利益余剰金、従業員の数、有形資産等の記載を行います。Second Tableでは、多国籍企業のリスト、それぞれの管轄におけるPEのリスト、各企業の事業活動の詳細な情報を記載します。Third Tableでは、税金の納期や国別報告書に必要とされる情報に関連しより詳細な説明やデータ源などを記載して提出することになります。
ガイドラインでは、国別報告書は、税当局間の情報交換が可能となるように、情報はイタリア語と英語の両方で書き、金額は国別報告書を提出する義務のある企業の財務表で使用されている通貨の表示を求めています。さらに、国別報告書は、EntratelかFisconline(ともに申告用サービス)で提出しなくてはならないと定められています。また、提出フォーマットについては、XML形式であること、同時に歳入代理店は提出がなされたことを裏付けるために領収書の提出を義務付けています。報告書の電子申告が要請されていますが、なんらかの電子回路のミスで提出が妨げられた場合は、拒絶された日から15日以内に、納税者は再度提出しなくてはなりません。さらに、各地域の税当局は重要な誤りがあった場合には、イタリアの歳入代理店へ知らせ、報告義務のある会社は知らせを受けてから60日以内に正しく修正したものを送ることが要請されています。
このようにガイドラインが定められ、イタリアにおいても今日、急速に移転価格の法整備が整えられています。