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各国移転価格NEWS~ザンビア~

アフリカ大陸には50余りの国家が存在しますが、2021年5月時点で、3層の移転価格文書の作成を含むOECDのBEPS行動計画13が実施されているのは、南アフリカ共和国、エジプトなど数か国に限られています(“BEPS Action13: Country implementation summary”(KPMG 5/12/2021)。しかし、近年アフリカでは、ケニヤ、ナミビア 、ルワンダ、ザンビアなどで、OECDの基準に沿った移転価格の法整備が急速に進んでいます。

今回は、ザンビアをとりあげます。ザンビアは、地理的に南部アフリカの中心部に位置し、アフリカ大陸東西南北を結ぶ要衝の地に当たります。東はインド洋岸のタンザニア、モザンビークから、西は大西洋岸のアンゴラ、ナミビアまでの東西、北はコンゴから南はジンバブエ、ボツワナ、さらに南アフリカまでの南北と、東西南北の線が十文字に交わる中心にザンビアが位置します。もともと大陸内部に豊富な資源を持つアフリカでは、近年、アフリカ連合(AU)を中心に、一国内にとどまらない広域にわたる経済開発の取り組みが行われています。ザンビアもまた、その地理的特性を生かし、交通・輸送網のハブとして、グローバルな経済開発に取り組んでいるといえます。このような中、現在、国際社会における法に準じた法整備も急速に進んでいます。

ザンビアは、移転価格税制ついても、OECDの推奨するBEPS行動計画に準じた法改正を進めています。アフリカ大陸においては、南アフリカ、エジプトに次ぐ早さといえます。すでに、2021年1月1日より、国別報告書(CbCR)にかかる移転価格規則の修正法が施行され、事業年度終了が2021年12月31日以降の申告に適用されこととなっています。ザンビアの修正法では、 CbCR要件は、以下のように定められています。

  • 多国籍企業(MNE)は、事業年度の最終日より12か月以内に提出する義務がある
  • MNEが事業をおこなうそれぞれの国の総合財務情報も含まれる必要がある
  • MNEに属するそれぞれの企業および税務上の居住地、どの法に基づいて各企業は設立されたか、各企業の事業活動を記載する必要がある
  • もし、MNEの究極の親会社(UEP)がザンビアに税務上の居住地を有し、7億5,000万ユーロ(47億9,500万クワチャ)を超える年間連結歳入がある場合、連結財務諸表をザンビア歳入局へ提出しなくてはならない

修正法では、さらに、ザンビアに税務上の居住者として居住する企業が、UPEでなくても、以下の場合にはCbCRを提出しなくてはならないことが規定されています。

  • UPEが税務居住地の国でCbCRを提出する義務がない場合
  • UPEが税務上の居住地である国がシステムエラーを起こしている場合
  • UPEが税務上の居住地である国とザンビア間で、CbCRが適切に交換されるための協定が結ばれていない場合

MNEに属する企業が一社以上、ザンビアに税務上の居住地となっていれば、そのなかの1社がCbCRを提出し、ザンビアの歳入局にそのことを通知する役割を担うことが義務付けられました。ただし、グループから任命された代理親会社が税務管轄地域でCbCRを提出し、条件を満たしている場合は、ザンビアの子会社に対する義務は免除されます。

また、修正法では、CbCRの通知要件が明記されています。ザンビアが税務上の居住地である会社は、ザンビア歳入局に、その会社が親会社、あるいは代理親会社かどうかを報告しなくてはならない、というものです。どちらにもあてはまらないときでも、税務当局に会社の存在と、税務上の居住者であることを通知しなくてはなりません。

今回の修正法では、CbCRの目的と利用については、①移転価格にともなうリスクを査定する、②MNEのメンバーによる不遵守のリスクを査定する、③経済および統計分析のため、と述べております。さらに、ザンビア歳入当局はCbCRを、移転価格を行う際の基準として利用しない、ザンビア歳入当局はRの詳細を機密扱いしなければならいことが定められています。

ザンビアは急速にCbCRにかかる規則を整備しています。ザンビアのMNEは、そのことに留意する必要があります。CbCRを含む移転価格文書の準備、情報開示の遵守、提出のルールは極めて重要だからです。ザンビアにおける近年の移転価格税制の目覚ましい法整備については、納税者は十分に注意を払うべきでしょう。なぜなら、これを怠った場合は、移転価格の重大なリスクを負うことになりかねないからです。