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国税庁が、移転価格の通達改正に関するパグリック・コメントを実施(締切:2022年4月12日中)

通達改正の背景と目的

OECDは、2015年10月までのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの内容を盛り込み、2017年、OECD移転価格ガイドライン2017年版を公表しました。

2022年4年1月、OECDは、同ガイドライン2022年版を公表しました。そこでは、2017年版の公表以後に「BEPS包摂的枠組(Inclusive Framework)」において承認された、「評価困難な無形資産(hard-to-value intangibles)に関する実施ガイダンス」、「取引単位利益分割法に関するガイダンス」(ともに2018年に承認)及び2020年に承認された「金融取引ガイダンス」が反映されるとともに、当該変更に伴う所要の修正が行われています。

パブリック・コメントの「「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)の一部を改正する案について」によれば、「これまで移転価格税制に関する法令改正やOECD移転価格ガイドラインの改訂等を踏まえ、所要の見直しを行ってきました。BEPSプロジェクトの一連の作業の成果を踏まえた見直しも順次行ってきたところ、この見直しの一環として、OECD移転価格ガイドライン第8章(費用分担契約)の改訂及び第 10 章(金融取引に係る移転価格の側面)の追加を踏まえて、下記Ⅱのとおり、費用分担契約及び金融取引に関する移転価格税制上の取扱いを明確化する等、指針の一部改正を検討しています。」と説明されています。

なお、パブリック・コメントは、行政手続法に基づく手続であり、国税庁では、平成19年6月の移転価格事務運営要領の改正から、実施されているものです。

主な改正点

主な改正点をハイライトすれば、次のとおりです。

1 OECD移転価格ガイドライン第 10 章(金融取引に係る移転価格の側面)の追加に伴う改正

  1. 金融取引の調査における取扱い
  2. 金融取引に係る独立企業間価格の検討を行う場合の留意事項
  3. 上記のほか所要の改正

2 OECD移転価格ガイドライン第8章(費用分担契約)の改訂に伴う改正

  1. 費用分担契約の定義の明確化
  2. 費用分担契約の移転価格税制上の取扱い
  3. 費用分担契約に関する調査における留意事項
  4. 費用分担契約における既存の無形資産の使用がある場合の検討すべき事項
  5. 費用分担契約に係る検討を行う書類

3 その他

OECD移転価格ガイドライン第1章において、独立企業原則の適用を検討する際には、「取引の正確な描写」が重要であることが示されたことを踏まえ、移転価格税制上の問題の有無を検討する際には、諸要素等に基づいて国外関連取引の内容等を的確に把握することを明確にするほか、所要の見直し

4 別冊「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」の改正

  1. 【事例4】(独立価格比準法に準ずる方法を用いる場合)
    ≪前提条件2:金銭の貸借取引の場合≫について、適用事例の内容を見直し
  2. 【事例4】(独立価格比準法に準ずる方法を用いる場合)
    新たな適用事例として、≪前提条件3:債務の保証の場合≫を追加
  3. 【事例7】(寄与度利益分割法を用いる場合)
    新たな適用事例として、≪前提条件4:キャッシュ・プーリング≫を追加

所感

今回の改正案では、金融取引にフォーカスが当たっており、親子ローンなどの貸付利率や、海外子会社が金融機関から借り入れる際、日本の親会社が債務保証を行う場合の取扱いなど、これまでの取扱いと異なる諸点が示されています。多くの企業にとり影響のある重要な改正と言え、今後の改正の動向が注目されます。

当ニュースコラムでは、今後、改正の動向や解説などの情報発信に努めて参ります。